Yesterdayのデモ段階での仮名です。
ポールは夢の中でこの曲を思いついたとのこと。
朝起きると完全な形でメロディーが頭の中にあったそうです。
すぐさま飛び起きてコードをつけてメモ。
しかしあまりにも完璧に頭にあったのでポールは既存の曲なんじゃないかと最後まで疑っていて、みんなに歌って聴かせては確かめて回ったそうです。
そんないかにもビートルズらしい逸話がある曲ですが、実はジョンレノンがかなり嫉妬していたそう。
この曲が収められているのはHelp!
ビートルズ2作目の映画のタイトルともなった表題曲。
ジョンにしてみれば「1作目のA Hard Day's NightもこのHelpもこの俺様の曲!
それがそのままアルバムタイトルで堂々の1曲目!」
ビートルズの頭目としてかなりの矜持があったことでしょう。
当初、YesterdayはそんなアルバムHelpのB面の最後から2番めに収められた2分程度の小曲。
少なくともジョンにとっては。
ポールがなんかまた小洒落たバラードを書いたらしいな〜くらいに思ってたはずです。
しかもYesterdayの後にアルバムのオーラスとして登場するのはジョンにシャウトが炸裂するロックンロール、Dizzy Miss Lizzy。
ジョンにしてみれば「最初も締めも俺がリードボーカル。まさに俺の最高傑作!」という感じでことさら眼中になかったはず。
しかしふたを開けてみれば大注目を浴びたのはポールのYesterday。
そのままビートルズの代表曲として今日に至ってしまう訳です。
ジョンはかなりへこんでいたらしく、「僕にはYesterdayがない」としきりにつぶやき、解散してからは「所詮君はYesterdayだけの男」と曲のなかでなじり、Imaginを書き上げたときは「やっとYesterdayに匹敵する曲が書けた!」と言ったとか。
またライブではポール一人で歌うことが多く、その間他のメンバーは捌けています。
まさに独壇場。
歌が終わって戻ってきたときにジョンが「サンキュー、リンゴ!」とかなり嫌みなジョークをとばしています。
これはたしかアンソロジー2に収録されているはず。
アルバムHelpはビートルズの転換期と言われており、これを境に彼らはアイドルグループとしての皮を脱ぎ捨て革新的な音楽家集団に変わっていきます。
リボルバーやサージェントペパーに代表されるサイケデリック期の大きな原動力はポール。
ジョンが絶対的な中心だった初期からポールの発言権が増していく中期へ。
ジョンを本気でへこませたポールの渾身の一曲、Yesterday。
この後のビートルズの変化を象徴するような曲だと思います。
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